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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その2】

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 その後私は、自分があまりに興奮していることに気付く。
「って、こんなことずっと考えてても仕方ないか…。ちょっと落ち着こう…」
 しばらく深呼吸を繰り返してみた。そして自分の家族のことを急に思い出した。

【あぁ…どうしたらいいんだろう……母さん……父さん………】


【父さん…?】

「あぁあぁぁっ!落ち着いてる場合じゃないって!オトコと同居って!父さんになんて言えばいいんだよ〜っ!しかも見知らぬオトコォ〜〜ッ!絶対追い出さないと!ヤバイって絶対!」
 半ば発狂するかのような声で思わず私は叫んだ。

 すると玄関からミシェルがひょっこり顔を出した。
「そんなとこでブツブツ考えてないで〜早く家に入らないとまた狼来るかも〜」
「えぇっ!」
「なんてね」

 全てを見透かすようなグレーの目を細め、イタズラっぽくミシェルは笑う。そして、門の前にいる私に何かを投げてきた。私は慌ててキャッチした。
 それは、フェンリルの末裔に追いかけられる直前、コンビニで買った缶コーヒーと同じものだった。どうやら私が投げ捨てたやつっぽい。その証拠に横が不自然に凹んでいる。

「それ、砂糖多すぎですね。太りますよ?」
 玄関口からミシェルは淡々と言った。
「じゃかあしいわっ!」
 私はその缶コーヒーを玄関の方へ勢いよく投げつけた。
 ミシェルはそれを上手く受け取る。
「僕が今からブラックでコーヒー作っときますね。[子供]じゃないんだから、飲めないなんて言いませんよね?」
 そう言ってにっこり笑ったミシェルは、玄関をパタリと閉めた。

 私はというと、[守護はいらない]と言ったことを後悔するどころか、その後悔自体に後悔していたのだった……

【アイツ!!絶対追い出してやるっ!】