~双晶麗月~ 【その2】
「意味わかんねぇよ!ぜんっぜんわかんねぇって!」
「あ、僕たち腹違いの兄と妹ですから。よろしく」
「っはぁ〜〜〜〜っ?まじで〜?」
ミシェルは笑顔のまま[僕たちのおうち]の門を開け、さっさと玄関へと入っていった。
私はというと、当然門から入ることも出来ず、しばらく門の前で頭の整理をした。
【そういやさっき『開放されるまで』って言ってなかったか?開放ってなんの?】
改めて自分の右腕を見た。どこからどう見てもフツーの腕。多分……。
【羽根、生えてたよなっ?なんなんだよ『中にあるあなた』ってさぁ!】
徐々に冷静になると同時に、少しずつ状況を思い出してきた。
【あ!あいつ!やっぱ人間じゃないのに…私の兄貴だって?なんなのアレ?ニズって言ってたけど、ニズホッグルならナーストレンドにいるんじゃないのか?消えたあの巨大狼は…フィルと同じ死者の国ナーストレンドへ行ったのか…?フェンリルの末裔って言ってたけど、フェンリルとは違うのか…?】
思考回路はどんどん回転を増す。
【それにしてもアイツ……マジで一緒に住むつもりなのか?進学する高校が急に変更になったのも、ここへ引っ越すことになったのも、アイツが仕向けたとしたら…なんのためになんだ】
作品名:~双晶麗月~ 【その2】 作家名:野琴 海生奈