小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

~双晶麗月~ 【その2】

INDEX|3ページ/28ページ|

次のページ前のページ
 

 月明かりに照らされたその顔は、色白な肌、程良い厚みの唇、鼻筋が通っていて、その両サイドには透き通るような淡いグレーの大きな瞳。そこにかかるのは緩やかな弧を描く黒髪。
 私はしばらくその人間離れした美しさの顔に見とれてしまっていた。 

 そしてミシェルは私の耳元にその顔を近付け、優しく言う。 
《大丈夫、心配しないで》

 私は身動き一つできなかった。

 その時、いきなりミシェルは私を軽く抱き上げた。
「やっ…やめろ!離せ!」
 やっと我に返った私がなんとか抵抗しようにも、ミシェルが私を抱えて離さない。

 そこで私の目に映ったものは、ミシェルの背中にある大きな黒い翼。ダークグリーンに光っている。そこに舞う私の白い羽根は、雪のように見えた。

 私はその翼が、先ほど助けてくれた[ニズ]と重なった。
【あの時[ニズ]が現れなかったら、私はどうなっていただろう……】

 気付けば私はしっかりとミシェルにつかまっていた。


 ミシェルが翼を軽く羽ばたかせると、私たちは屋根よりも高い位置まで行って停止した。そして私たちの周りには、渦を巻きながら冷たい風が吹く。その風に乗って、私の腕から吹き出る白い羽根が舞い踊る。
 その中から私はいつも見ている景色を見下ろしていた。

 すると、その渦の中から見える周りの景色が一瞬で変わった。
「なっ…!どうなってんだ!」
 驚く私に気付いていないかのように、平静なミシェル。
 その後風が収まると同時に、私たちはふわりと地面に着地した。ミシェルが私を静かに降ろすと、舞い踊る白い羽根は静かに消えていった。