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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その2】

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 ミシェルは真顔のまま話し続ける。
「おかしいですか?かなり[フツー]にしてるつもりなんですけど」
 ミシェルは自分の体を上から下まで見た。気付けば背中の大きな翼が消えている。
「あのさ!今はフツーには見えるかもしれんが!でもさ!そういうことじゃなくて!」
「ならオッケーじゃないですか。さ、行きましょうか」
 ミシェルは素早くそう言い放ち、くるりと向きを変え、道を歩き始めた。

 私はミシェルのその態度に苛立った。
「あほか!どこ行くってんだよ!」
 するとミシェルは突然立ち止まる。そしてくるりと振り返った。

「な…なんなんだよ!」
 怯(ひる)む私を見て、ミシェルは淡いグレーの目を輝かせ、にっこりと微笑んだ。

「おうちに帰るんですよ。[僕たちのお・う・ち]へ」
 何か企んでいるかのように微笑むミシェル。
「はっ!?何言ってんの!?[僕たちのおうち]って!」
「さぁ行きましょう」
 ミシェルがにこにこしながらそう言って、私の肩に手をまわす。すると、私の右腕から大量の白い羽根が飛び散った。
「うわっ!」
 ミシェルが私の肩に触れている間、白い羽根がどんどん出てきて、宙を舞う。
「これっ!どうにかしろって!」
「あぁ、すみません」
 ミシェルは驚いた風でもなく、軽く謝って手を離した。そして、白い羽根は一瞬にして消えた。

「もう!なんだってんだよ!まったく!」
 私はミシェルを横目で見ながら遠ざかるように歩き始めた。

 するとミシェルは私の腕ぐいっと引っ張り、自らの体に私を引き寄せた。私の腕からはまたしても白い羽根が溢れ出している。
「なっ…なにすんだっ…!」
 私が慌てて見上げると、そこには柔らかく微笑むミシェルの顔がすぐそばにあった。