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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その2】

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「『漏れすぎる』って、どういうことだよ」
「あなたはご自分が、他の[人間]と違うということに気付きませんか?」
 ミシェルのその問いに、私は少し戸惑った。

「……私は物心付いた頃から色々な気配を察知していて……ただそれだけじゃないか…」
「他の[人間]でそういう方はいましたか?」
「…いなかったよ……」
「そういうことです」
 言葉を詰まらせながら答えた私に、ミシェルは即答し、私の目をまっすぐに見つめた。
 だが私は見つめ返すことができず、目を逸らした。


「他にも何度か思考が漏れていることがありましたけど……そのうち慣れるだろうと、僕はあえて何も言いませんでした」
「…………」
 何も言い返せない私は、グラスの水を一気に飲み干し、濡れた机の上に叩き置いた。


「あともう一つは……おそらく相当動揺していたのでしょうね。忘れているでしょう?」
「動揺?」
 ミシェルは私が置いたグラスを避け、持ってきた布巾で濡れた机の上を拭きながら静かに言った。
「僕が……フィルグスを消した時です」
「あっ……!」
 私は忘れようとしていたあの出来事をまた思い出してしまった。