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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その2】

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 それからミシェルは少し優しい顔をして、話を切り替える。
「で、もう一つの会話ですけど……先日フェンリルの末裔を始末した後、僕たちの家に到着し、家に入る前です。あれは逆に、あなたの思考回路が僕に駄々漏れでした」
「は?駄々漏れっ?」
 私は慌ててあの時自分が何を考えていたのか、必死に思い出そうとしていた。
 何か、聞かれちゃマズイこと……考えてなかったか……?

「あの時、かなり心乱れていたようで……いろんなことを延々考えている姿は……」
 そう言いかけ、ミシェルは静かに微笑む。
「可愛かったですよ」
 私は自分の顔が赤くなるのがわかった。

「はぁっ?何言ってんの!何が『可愛かった』だよ!勝手に脳内覗き見しやがって!」
「いえ、駄々漏れだったんですって。聞くつもりじゃなかったんです。きっと、気が緩むと流れ出てしまうんでしょうね」
 ミシェルはくすっと笑う。

「気が緩むと流れ出ちゃうって!緩むも締めるもないだろッ!あのさ!普通考えてることが人に伝わることないんだからな!それを駄々漏れって!」
「大丈夫です。おそらく僕にしか漏れていなかったはずですから」
「それどういうことだよ!」

 するとミシェルは真顔になった。
「あなたは僕が渡した白いハンカチを持っていますね?いつも肌身離さず持っていてくれて」
「なっ……まさか……何か仕掛けられているのか……?」
 私はポケットの中のハンカチに手をやる。

「えぇ。それには僕の術をかけてあります。そのハンカチの使い道は、また後ほどお話しますが……」
「脳内覗き見する術でもかけてあるのかよ」
「いえ、そういうことではありません。まず、あなたの思考が狼一族や他のものに漏れないようにしてあります」
「これで……漏れないように……?」
「はい。あなたは思考が漏れすぎる。それだけでも危険と言えるでしょう」