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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その2】

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◆第6章 月が満ちるまで◆


───何か聞こえる?…歌だ。誰かが歌っている。
 女の子の声?透き通るような…そしてとても冷たく悲しい声…
「助けて…ワタシをここから出して…」
 この声を聞いていると私の胸も苦しくなった。何か、物悲しい気持ちが込み上げてくる。


 ハッとして目を開けると、そこは海の中だった。水中なのに息が出来ている。
【ここはどこなんだ……?】

 暗い海の底近く、だが空からの光が僅かに届き、海中を照らしていた。
「助けて…」
 周りを見回したが声の主が見つからない。だが、微かに声が聞こえる。
【どこから?泣いているのか?】
「出して…」
 私はその声を捜しに海中をゆっくりと歩く。長く伸びた海藻が行く手を阻む。
「誰か…」
 海藻を掻き分け進むと、大きな岩がいくつも積まれている。その下から声が聞こえる。
「誰か…ワタシを助けて…」

 私は長い海藻を掻き分け、急いでその岩の下に向かった。岩の隙間からは、鎖の音?
 その音は岩の隙間の向こうで止まった。
「アナタ…誰?」
 声の主は、岩の隙間の中にいる…?

 私は驚いて叫んだ。
「そっちこそ!こんなところで何してるんだよ!閉じ込められてるのか?」

 その岩の隙間から僅かに見えるその人は、白い服を着ているということだけがわかる。ゆらゆらと揺れているその白い服は、まるでドレスのようだった。