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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その2】

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◆第4章 ほんの少しの後悔で。◆


『守護はもう必要ないと言ってるんだ!帰ってくれ!』

 そう言ってしまったことに、私は少し後悔していた。巨大狼から必死で逃げていた私を助けてくれたのは、まぎれもなくミシェルだった。
 あんなものが私を襲ってくる。私は本当に一人で生きていけるのか……
 再び恐怖と不安がよぎる。

『まぁいいでしょう。いいタイミングだったかもしれません。あなたの元へ[いずれ来るであろうもの]からあの子は護りきれないでしょうから』
 以前ミシェルは言っていた。

 [いずれ来るであろうもの]って…さっきのだろうか?
 確かにあの大きさでは、きっとフィルは殺られていただろう。
 護られていなければ、おそらく私も……

 いや、私はもう一人で強く生きていくと決めたんだ……
 

 恐怖心を打ち消し、しばらく坂道を歩いた。
 その後、公園が見えなくなる所まで来た頃だった。上空でバサリと音がしたと思ったら、私の目の前に、静かに男が降り立つ。ミシェルだ。その背中には大きな黒い翼。

 それでも私はまだ迷っていた。
 この目の前の男を信じるべきか信じざるべきか……

「僕はあなたの1番上の兄貴になりましたよ?[フツーの兄貴]ですからご心配なさらないで」
 突然目の前で真顔になるミシェルに、私は目が点になった。
「バ…バッカじゃねぇの!そういう問題じゃねぇって言ってんだろ!?だいたいどこがフツーなんだよ!どこが!で、なんで[一番上の兄貴]なんだよ!私の兄貴は一人だ!」
 以前雄吾の姉さんが見た[兄貴]のことを思い出した。