小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

~双晶麗月~ 【その2】

INDEX|19ページ/28ページ|

次のページ前のページ
 

 その日の夕方、私はミシェルが作った夕飯を食べていた。
 ミシェルがこの家に住むようになってから、なぜかミシェルが食事を作ってくれる。しかもほとんど毎日和食だった。そしてミシェルはいつも私の分だけ食事を作る。

 ミシェはいつも何を食べているんだろう?そういえば食べている所を見たことがない。
 買い物もどうやって?お金も……どうしてるんだろう?
 やっぱ『ちょちょいのちょい』なのか?

 そう考えている私の前にミシェルは座り、私が食べているところをずっとにこにこして見ていた。
「なんだよじろじろ見んな」
「美味しそうに食べますね」
「別に!私は洋食のが好きなんだけどね!」
「洋食?日本人は和食でしょう?」
「固定観念は捨てろ」

 そんな私の言葉を聞いているのか聞いていないのか、ミシェルはずっとご機嫌だった。

「オマエさ、なんでそんなににこにこしてんの?なんかいいことでもあったのか?」
「いえ、こういうフツーの何気ない生活もいいもんですね」
「はぁ〜〜?」
 私は開いた口が塞がらなかった。
「あのさ!新婚夫婦みたいなこというのやめてくんない?しかも立場が逆じゃん!」

「僕は……こんな生活したことなかったんで」
 そう言ってミシェルは顔を曇らせた。

 そういえばミシェルの生活って……どういう生活してたんだろう……


 謎の多いミシェルのことを考えつつも、私はちゃっかりお腹いっぱいになるほど食べ、部屋に戻った。
 そして、以前ミシェルから渡されたあの白いハンカチを手に取り、右肩の痣と同じ紋様を見つめた。そのハンカチにはまだフィルの血の花びらが入ったままだ。
 私はそのままべッドにゴロンと横になった。

 今のところ右腕に変化はない。
 確かあの日、あの狼が現れた日の朝から痛んでいた。
 そしてミシェルが触れた時に白い翼になり、手を離した時に元に戻った。
「もしかして……」

 私は勢いよくベッドから起き上がり、部屋から出て階段を駆け下りた。