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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その2】

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 学校へ着くと私たちはすぐに図書室に向かった。廊下を足早に歩く私の後ろから、雄吾はズカズカと歩き、ついてきた。

「おい!こンのくそ暑いのに、なんでいきなり図書室なんだよ。まだ冷房効いてねぇぜ?」
「いいから来いよ!ちょっと調べたいことがあるんだよ」
「調べたいこと〜?なんだそれ」
 私はその返答をごまかすように、聞き返した。

「それよりさ、さっきの何だよ、『ボクが責任持って』ってさ。彼氏でもないやつが言うセリフじゃねぇだろ〜。ケンカしたら私より弱いくせにな〜」
 そう言って振り返ってみると、雄吾は真っ赤になっていた。
「うるせ!いつも負けてやってんのがわかんねぇの?あれはなぁ!売り言葉に買い言葉っつーの!」
「はいはい!ほら、図書室だよ!」
 私は雄吾を軽くあしらい、図書室のドアを開ける。
 そしてとりあえず犬の本を探した。犬の癖、犬の生態、色々調べた。特に犬の聴力について……

「何調べてんだよ?」
「ん〜…ちょっと……」
 私は雄吾にきちんと返事もせず、必死に調べていた。

 すると雄吾はしばらく考え込んだ後、何か閃いたのか、本を探しに行く。
 そして、違う本を持ってきた。
「これ、狼も載ってるぜ?」
「あ!それも見せて!」
 さすが雄吾だ。カンがいいというか気が利くというか。

 雄吾が持ってきたいくつかの本をパラパラめくってみる。すると見覚えのある狼が載っていた。フェンリル……北欧神話に登場する巨大狼だ。そこにはそれ以外のものもたくさん載っていた。

「これ!ちょっとこの本借りるわ!」
「お、おい、貸し出しカード書かねぇと!」
「雄吾書いといて!!」
「はぁ〜?なんで俺が!」

 私は表紙に[北欧神話の動物]と書かれたその本を持ち、急いで教室に向かった。