~双晶麗月~ 【その2】
「[僕の代わりに]咲夜を学校までよろしくお願いしますね」
私は思わず、そう言ったミシェルの顔を睨んだ。
【[僕の代わりに]って……絶対本気で言ってないだろ】
私は心の中で呟いた。すると、それに気付いたかのように、ミシェルはチラリと私を見て含み笑いをした。
「もちろんでっす![お兄さんの代わり]でなくてもボクが責任持って送迎致します!」
威勢よく言う雄吾に、再びミシェルは思ってもいないであろう言葉を言った。
「頼むね」
それから雄吾と二人で学校へと向かい、ゆるい坂道を公道まで下りた時、私はなんとなく後ろを振り返った。緩い坂道を見上げると、道路まで出ていたミシェルが見えた。
まさか、ずっとこっちを見ていた…?
あれは…ミシェルはもしかして、わざと雄吾の姉さんに後をつけさせたのか?
ミシェルは雄吾を知っていたような口ぶりだった。
まさか、自分が近くにいるということを、私に知らせるため?
それとも何か別の意図があって……?
あの[狼のような犬]とか[聴力]とか…何か関係あるんだろうか……
私は態度のおかしかったミシェルを不審に思い、学校で色々調べてみることにした。
作品名:~双晶麗月~ 【その2】 作家名:野琴 海生奈