~双晶麗月~ 【その2】
雄吾は興奮し始めた。
「やっぱり!オレが思った通りだ!フィンマルク人みたいな顔してますもんね!」
私は少し間を空けてから、冷たくツッコミを入れた。
「『フィンマルク人みたいな顔』って、どんな顔だよ」
「アッハッハ!」
「笑ってごまかすなよ」
すると、雄吾が言う。
「てかさ、フィンマルクってなに?」
私はガックリと肩を落とし、ミシェルの方をちらりと見た。
ミシェルはそしらぬ顔をしている。
「あのな雄吾、フィンマルクってのは、北ヨーロッパ、北欧の一番北にある、ノルウェーの中でも最北端にある地名」
「ふぅ〜ん。お前よく知ってんな。補習テストがビリだったやつとは思えんな」
「うるせぇよ!」
私は思わず雄吾の胸辺りにパンチを入れる。
再びミシェルの方を見ると、ミシェルは私を見てにっこりと笑った。
北欧神話で最北端にある国はニヴルヘイム、ニズホッグが棲むフヴェルゲルミルの泉がある国。何気に調べといたことが、こんなとこで役に立つとは。
しかしなんで[そこ]なんだ。結局ニズホッグに繋がっている……
「しかしほんっと似てないですよね!いや似てる…ような所もあるかな…いや…やっぱ似てない…ような似てるような〜」
「煮え切らないヤツだな。どっちなんだよ」
そう言いながら、先日雄吾が言ってた言葉を思い出した。
そういえば、こないだ雄吾は『異母兄妹なんじゃないか』と言っていた。
雄吾のカンがいいのもわかるけど……それだけか…?
作品名:~双晶麗月~ 【その2】 作家名:野琴 海生奈