~双晶麗月~ 【その2】
◆第5章 解けない謎◆
「君が雄吾君?よろしく」
ミシェルは道路にいる雄吾の前に立ち、ニッコリと笑い右手を差し出した。ミシェルのその笑顔は、明らかに意味深なカンジだった。
雄吾は私の顔をチラリと見た。そしてちょっと考え込んだ後、ミシェルに言った。
「姉が!先日お世話になりました〜!アッハッハ!」
「バカッ!何言ってんだよ!」
私は慌てて雄吾の言葉を遮(さえぎ)る。
だがミシェルはそれに動じることもなく、雄吾に言った。
「あぁ、あの方の弟さんでしたね。こちらこそ」
『でしたね』って……ミシェルは雄吾のこと知ってるのか……?
ミシェルは素早く雄吾の手を掴み、必要以上の力で握手した。
「いでででででっ!姉のこと!覚えてて…いでっ…くれてたんスね!」
体育会系の雄吾が痛がるなんて、相当な馬鹿力……当たり前と言えば当たり前か。
どうやら雄吾は、ミシェルが[兄貴]ということはわかったようだが……
ミシェルは雄吾の姉さんを覚えてたっていうより、[雄吾]を覚えてた……?
「お兄さん、咲夜と似てなくてかっこいいッスねぇ!」
私はギクリとした。
「似てないですか?ふふ……まぁ[異母兄妹]ですから。先日フィンマルクからこちらへ来たところなんです」
ミシェルはまたとんでもないことを言い出した。
異母兄妹って……しかもフィンマルク…!
作品名:~双晶麗月~ 【その2】 作家名:野琴 海生奈