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山つつじ

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到着した駅で、探し回ってどうにか昼食を確保した。缶ビールも2本買って、ビニール袋に保冷のための氷詰め袋を入れ歩き出した。

家を出た時より暑くなっている。観光案内所で貰った地図を見ながらつつじ公園に向かった。やはり同じ所に行くのだろうと思える、おそらく夫婦が目の前を歩いている。二人の距離は2メートルぐらい離れていた。
聡子は「ねえ、普通の夫婦ってあんな風なのかな」と言うと、洋平は「ああ、俺もそんなこと思っていたよ。あれが普通なのかもしれないね」と言った。
聡子は隣を歩いている洋平との距離を目測する。50センチぐらいだろうか。

女性の2人連れも結構多い。男の2人連れはほとんどいないのを聡子は不思議に思う。

やがて遠くに赤いツツジが見えてきた。そして白、紫。
「あっ、あそこだね」
「うん、きれい。あ、横の方にも、上の方にも」

日陰の無い所を歩いて来たので汗ばんでいる。少し急ぎ足になって近づいて行く。入園料を払って、坂道を登った。

園内の地図をひろげ、どういうコースでまわろうかと二人で相談した。聡子はこんなことさえ私達夫婦では無かったなあと思ってしまう。

かなり傾斜のきつい細い道を、ツツジを見ながら登って行く。下の方は終わりかけて茶色になったものがある。上の方は見頃だった。上から見下ろすツツジの景色もなかなか良かった。休憩をいれながら、お寺のまわりの大きな古木などを見てまわっても、まだお昼には早かった。

離れた場所にある別のお寺をまわる山道のコースに向かった。道が細いので前後になって樹木の下、洋平のあとを歩きながら、聡子は夕べ見たテレビ番組の話をした。まだお互いの配偶者のことは話していない。どんな話でも、知っていること知らないことに、的確に反応があって嬉しくなった。はっと気がつくとずうっと喋っている。

作品名:山つつじ 作家名:伊達梁川