ちーくんと幼馴染
作戦会議(グッバイ常識。こんにちは羞恥心)
前回より引き続きメーデー。1時間ほど前の俺。
頼むから例え校内放送で呼び出されようと窓から鋭い視線を送られようと、絶対に社会資料準備室に行ってはいけない。死ぬぞ!!そしてベストなら数日前の俺、担任の猫かぶりに騙されて担任の受け持つ社会係になんてなるな。地獄しか待っていないぞ!!
そして1時間前に・・・はたまた数日前にそれを避けられなかった可哀想な現在の俺。
もうハラをくくるしかない。行け、行くんだ、俺。
がんばれ、俺。お前ならやれる。俺はやればできる子だ。
そう自分に言い聞かせた後、意を決して幼馴染の部屋の扉を開けた。
「うわぁ・・・・・・」
ファンシー度が上がっている。
「(おじさんもおばさん、そろそろ気づけばいいのに・・・)」
前回訪れたときよりもぬいぐるみの量は増し、明らかにカーテンなどの愛らしさもアップしている。
恐らく完全に塞ぎこんだ幼馴染の気をひこうとおじさん達が買い与えたのだろう。
おじさんたちは俗に言う高齢出産だ。
子供が欲しくて欲しくて、それはもう苦労したらしい。
病院とかにも行ったけどそれでも駄目で、あきらめていた矢先にできたのが・・・。
そう、幼馴染である。
あの二人はそれはもう幼馴染を可愛がって可愛がって育ててきた。
幼馴染のいうことはたいていが通る。
洋服しかり、部屋しかりである。(ただし、問題になる前はおじさんたちもノリノリだったが)
つまり今回の幼馴染の暴走の片棒を長年持ち続けてきたといっても過言ではない。
というか、今回の事だってふたりには幼馴染が自分を女と認識していることに焦っているわけでもないのだが、それは別にいま話すことでもない。
なので、本来ならば厳しく接して幼馴染の間違った常識を治す事こそ、彼らのするべきことなのだが、結局自分の子供可愛さに負けてご機嫌取りに好きなものを買い与えてこの通りなわけである。
「(自分の子供のこと以外なら常識人なんだけどなぁ、あのふたり)」
まったく、その甘さをうちの親にも分けて欲しいものである・・・なんて、違う。これはただの現実逃避だ。
今日はこんなことをぼぉっと考えるためにここに来たわけではない。
しかし、これからのことを考えると、非常に回れ右をして帰りたい気分になってくる。
だが俺も命は惜しい。(あの担任の目は教育者でなくゴル●的な目だった!絶対!!)
大丈夫だ俺。俺はやればできる子だ。