ちーくんと幼馴染
「だから絶対無理!」
バンッと叩いたのは社会科の資料準備室の
「俺が知るか。がんばれ」
この大魔王の机だ。
「なんっだよその投げやりな返事はッ!だいだい!これは本来ならあいつの担任のあんたの仕事だろーが!!」
「お前…教師。しかも担任を持たされた人間がどれだけ大変かわかってる?」
「い…いや、それは……」
「クラスの配布物の制作に新入生のオリエンテーションの嵐。授業の事前準備に加えて委員会の引き継ぎ!他の無駄にとしくったハゲ共は若いからと言って仕事を押しつけてくるし、なにより俺の愛車のメンテナンスもある」
「待て待て待て。最後違った。最後なんか違った」
先に色々と言ってみて誤魔化そうとすんなよ最後のが絶対に本音だろ。
「俺の車より大切なものは何も無ぇ」
「いやあるだろうよ!!っていうか少しは誤魔化せッ堂々と宣言するな!」
断言しやがった、コイツ。
「だいたい、お前の幼馴染を連れ出すなんて誰にもできやしねぇよ。それこそ制服許可するしか無ぇって」
「無理ッすか?」
「無理だろう。普通」
「ですよねー」
無理だとは思った。というかそんなことを許可したらキリが無い。
それに、あいつだっていつまでたっても大人になれやしない。
「自分が女だって本気で信じ込むなんてどうかしてるんすよ。どうしたら都合の悪いこと全部無視してあんなに信じられるのか…いや、あれは信じてるって言うより思いこんでるって言うか。もう一種の劇にすら見え「それだ」
「は?」
「劇ねぇ……いいじゃん、それ」
大魔王の目が光った(もちろん気がしただけだけど。なにそれ怖い)。
「利用させてもらおうじゃねぇか」
メーデーメーデ―。少し前の俺。
こちら悪の本部より今の俺。
コードオレンジ。
頼むから早く逃げろ。
準備期間(受難の始まりとも言う)end
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