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ちーくんと幼馴染

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一体全体どうしてこうなったか。
それを説明する為にはひとつ、知識としていれておいて欲しい。




俺の幼馴染は可愛い。




それは贔屓目とかそういうので無く、事実として。



俺の幼馴染は可愛い。



その認識は俺以外の人間、もちろん幼馴染の家族内でも共通した。

物心つく前に面白半分で着せたひらひらフリフリした服を見事に着こなしてみせた幼馴染。
なかなか子供ができず諦めていたころに生まれた我が子を猫可愛がりした両親は、更に可愛らしい服を買い与えて着せ替え人形のごとく次から次へと着せたのだが、不運にもそれがことごとく似合ってしまった上に本人も一切嫌がらずヒートアップ。
周りはその愛らしさからまるで女の子を扱うように幼馴染を扱った。


しかし、それがいけなかった。


まわりから当たり前のように蝶よ花よと育てられた幼馴染。
案の定というかそれみたことかというべきか(どっちも一緒みたいなものだけど)、本人も当たり前のように自分が"女の子"であると認識してしまった。



よくもまぁ、下半身のイチモツを無視して思いこめたものである。



流石に幼馴染の両親は学校にスカートを履いて登校させるようなことはさせなかったが(それでもどちらともとれる中性的な服を着せていたが)、その反動と言うか休日はひらひらフリフリのオンパレードだった。
とにかく、中性的な服。中性的な話し方、そしてあまり男女を区別することが少ない小学校。
運が良いというか悪いというか体質からプールには参加できなかったり運よく男女別の保険の授業の日に風邪をひくなどのミラクルがあいまって、幼馴染の自分に対する性の認識のズレはバレル…というよりも理解してくれる日は来なかった。


ただ、色々言いくるめて6年間ちゃんと男子トイレを使わせることに成功した俺の苦労は褒めて欲しい。


そんな特殊環境で生きてきた幼馴染。
そんな環境で育ててしまったことが間違いがあからさまに浮き彫りになりだしたのはだ俺と幼馴染が中学生に上がろうという時期。
そう…一緒に制服を注文しに行ったあの日。





『私、△△中学の制服がよかったなぁ』

『別に○○も△△も男は学ランだし変わんねぇだろ?』

『それは、ちーくんが男の子だもの。私みたいに気にしないよ』






嫌な予感はしていた。そう、嫌な予感はしていたんだ。





2週間後。




学ランが届いた日。幼馴染はひきこもった。



作品名:ちーくんと幼馴染 作家名:727