理科室の吸血鬼
実験が終わり、あたしは理科室から出ようと教科書や筆記用具を持つ。
すると亜紀がこちらに向かって来て、満面の笑みでこう言った。
「あたし、黒崎君と喋った!!」
「何て話したの?」
そう尋ねると亜紀は少し苦い顔をして、ちょっとおかしな話だけどと頭をかく。
「あのさ、あたしの首になんか傷ある?」
「えー…っ!」
焦った、亜紀はあたしに首を見せてもらい見るとこの前の傷があった。
吸血鬼に吸われた跡と言われたその傷はまだくっきり残っていた。
「黒崎君に、お前その首どうした?って言われてさ。」
首を擦っている亜紀を見て、あたしは黒崎君よく気づいたなと少し感心した。
「で、なんかある?」
そう問われてあたしは焦りながらも言い訳を考えた。
「んー、そ、それただの蚊に刺された跡じゃない…っ?」
でた言葉がそれしかなかった。
あたしは冷や汗をかきながら亜紀の様子をうかがう。
「そっかー、ただの蚊かぁ。」
あぁ、このこが純粋で良かった。