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理科室の吸血鬼

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「はい、今日はここまで。」
チャイムとともに英語の時間が終わった。
「次、掃除やん。めんどくさ~」
そう言いながら冬瓜は手を後ろに組ながら廊下を出ようとする。
「あ、でもあたしら外だけど今日雨だし…。中じゃない?」
あたしが言うと冬瓜はなるほどと言ったような顔をした。
「ほんまや!ほな、教室?」

「たぶんね。先生に聞いてみようよ。」

そしてあたしは窓の前で立ってる山田先生の方へ行った。
「先生、外掃除ってどうすればいいですか?」
山田は外を一回見て少し唸った。

「おっ、そうだ。理科室の掃除をしてもらおう。」

「理科室?」

「ああ、一年がちょうどふれあい学級にいってるからな。」

そういうことかと、あたしは納得した顔をすると山田はにやりと黒い笑みを見せ
「もちろん掃除がおわったら点検するから、しっかり綺麗にするように。」

あたしは苦い顔をして、「あはは、頑張ります~」と言ってその場を去り、死んだ顔で冬瓜の方へ行った。



「不気味やなー」
入って早々、冬瓜が言った。
理科室の中は雨が降って余計不気味だ。
「どこ掃除すればいいか分かんないよね。」
あたしはとりあえず掃除箱からほうきを取り出す。
後から同じ班の男子が入ってきた。

「おっ人体模型みようぜーっ」

「骸骨だろー」
面白そうに理科室を走り回る男子二人。
それを見て冬瓜はため息をついて
「あんたら、ちゃんと掃除せな。山田が点検しにくるでー!」
と怒鳴ると男子二人は「げっ、山田かよ」と顔を見合わせた。

冬瓜は睨みながら雑巾で棚を拭く。
すると凄い量のほこりがまって冬瓜に被った。

「ぶっ!…コンコン!!!…コン!」

「え…」

あたしたちは、呆然とその光景を眺めていた。
冬瓜が変な咳をしたからだ。

「おまっ、変な咳…」
一人の男子がそう言う。
「キツネみてぇ」
「たしかに」

あたしはそれを聞いて少し吹き出した。

冬瓜は少し恥ずかしそうに「い、いいからはよ掃除しいっ!」
と言った。
少し焦りもみせながら…。
作品名:理科室の吸血鬼 作家名:麗潤