理科室の吸血鬼
「…失礼します。」
ソッと保健室のドアを開けて入ると、保健室の先生らしき人がいた。
「おお、どうした?」
茶色いショートカットの髪に切れ長の目、一見すると男性に見えるが下のミニスカートを見ると女性だと見える。
「ちょっとキツくて…」
「そうか、一応体温計はかっとけ。」
はい、と渡された体温計をあたしは受け取り、脇に挟む。
「あたしは、今年からこの学校に入ってきたからまだ此処のことが分からないんだ。
」
そう言うと保健室の先生がテーブルの上に置いてあるコーヒーを一口飲む。
「えーと…、島原先生?」
「そ…、まぁ、下の名前でいいよ。楓先生で。」
楓先生は椅子に座り資料を見始めた。
その時、挟んでいた体温計の音を鳴らし静かな保健室によく響く。
「何度だった?」
資料を見つめながら言う楓先生。
あたしは体温計を出し少し渋い顔をした。
「35.7分です…。」
「…ぜんっぜん無いな。」
楓先生は苦笑いをして立ち上がり、ベッドのカーテンを開ける。
「暫く休んどけ、一時間ぐらい。」
そう言われあたしはベッドに身を預ける。
布団がなんとなく薬品の臭いがしていい気はしない。
あたしは暫く浅い眠りについた。