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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その1】

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 私は思わず男の目をまじまじと見つめた。

 差し込む月明かりの中、男はその透き通るような冷たいブルーの目を細めた。背中の黒い翼はうっすらと発光している。
「『あなたを護るためにやってきた』って……今フィルを殺したあんたが?」
 私はその男を理解できずにいた。

「まぁいいでしょう。いいタイミングだったかもしれません。あなたの元へ[いずれ来るであろうもの]からあの子は護りきれないでしょうから」
「いいタイミングって……何言ってんの……?」
 男の口からは次々と信じがたいことを告げられる。
「心配しなくてもいいですよ。ちゃんと私が[最後まで]おそばにいますから」
 そう冷たく言われた私は、吹き上げてくる激しい感情のままに大声で叫んだ。
「あんたがいてどうなるってんだ!私の大事なものを壊したくせに!」

 だが男は動じることなく淡々と答える。
「心外ですね。私があの時喰われてしまっていたら、最終的に誰もあなたを護ってはくれませんよ?まぁ、まず私があの程度に喰われることはありませんが」
 私は数分前の残忍な光景が頭に浮かんでいた。
 ぞっとした。

「何のことだか知んないけどさ!あんたになんか護ってもらわなくても自分でなんとかしてやるよ!」
 冗談じゃない!こんなやつと一緒にいたら私まで殺される!…そう思った。

 男は少し笑みを浮かべて、私の右腕をちらりと見る。
「右腕、大丈夫ですか?」
 私は言われて初めて痛かったことを思い出した。痛いのも忘れるくらいショックを受けていたらしい。

「あんたには関係ないだろ!」
 私は悔しくて男にそう言い放つ。そして痛む腕を我慢したまま、道路に散らばったカバンの中身を慌てて片付け、花びらの落ちている場所に走って行った。