~双晶麗月~ 【その1】
「これで少しは楽になるはずです」
恐る恐る向けた目の先には、眩しい白い光。その中に白い羽根が一つ、二つ、三つ……
次々に舞い上がる。右肩の痣が電気を通したかのようにビリビリとする。
「……いっ…痛っ!」
ビリビリが限界に来て、右腕全体に激しい痛みを感じ、思わず私は目を閉じた。次の瞬間、私の右腕から急に痛みが消え、ふわりと軽くなった。
「えっ?」
驚いてすぐに目を開けると、私の右腕は眩しい光に包まれ、真っ白な羽根の翼になっていた。
「ちょっ!ちょっと!どういうことだよ!」
「これで[中にあるあなた]は楽になったはずです」
「何言ってんだよ!どうにかしろよ!」
ミシェルが手を離すと一瞬にして眩しい光が消え、元の腕に戻った。
私は痛みも何もなくなった右腕をだらりと下に垂らし、地面に座りこけてしまった。
「大丈夫ですか?」
ミシェルは動けない私を見下ろし、優しく手を差し伸べた。
「だっ……大丈夫に決まってんだろ!」
我に返った私は、ミシェルの手を振り払い、慌てて立ち上がる。
するとミシェルはため息をつき、以前のような冷たい口調で言った。
「これからしばらくお供させて頂きますので」
ちらりとこちらを見た目は冷たいブルーの瞳。
やっぱり[あの時]のミシェルだ。フィルを片腕で殺した男!!
作品名:~双晶麗月~ 【その1】 作家名:野琴 海生奈