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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その1】

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 あの時、『右腕、大丈夫ですか?』とうっすら笑みを浮かべた男と同じなのか…?
 でもコイツ……もしニズホッグなら……死者の血をすする……?

「べ……べつに痛くねぇよ!」
 私の頭の中は混乱していた。
 その時すでに私の右腕は痺れ、ほとんど感覚がなくなっていた。
「では、見せて頂けますか?」
 そう言われ、私は力のない右腕を見下ろした。長い髪が垂れ落ち、ようやく結んでいた白いレースのリボンが取れてなくなっていることに気付く。

「こちらが先ですか?」
 そう言いいながら、ミシェルは私の後ろに立ち、素早く私の長い髪を両手にまとめた。
「何やってんだ……!」
 驚いてミシェルの手を払いのけたその時、私の右腕はミシェルの手に掴まった。

 長く綺麗な指。
 あの雄吾とは大違いの、綺麗な手。

 ミシェルの手によってまとめられていた私の髪は、静かに背中に垂れ落ちる。私は腕を掴まれたままの状態で、勢いよく振り返り、ミシェルを睨んだ。ところがミシェルは、私が落としたはずの白いレースのリボンをくわえていた。

「そのリボン……!」
 私が驚く間もなく、ミシェルはそのまま魔法でも使ったかのように、素早くリボンを私の髪に結ぶ。私は呆然と立ち尽くす。

 その掴まれた私の右腕は、すでに感覚が麻痺しているのか、まるで自分のものではないようだった。ミシェルはそっと私の右腕を真横に伸ばし、その綺麗な手のひらで軽くなぞる。そして瞬時に私の腕から強く白い光が放たれる。

「うわっ!なんなんだよこれは!」
 私はあまりの眩しさに、顔を背けた。