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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その1】

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 [ニズ]と自らを呼ぶその長いものは、竜巻のように風を巻き上げ、公園いっぱいに渦を巻いたその体で巨大狼に絡みついていく。そして大きな口を開け、動きを止めた巨大狼の喉元に喰らい付いた。
 強引に術を解いた巨大狼が仰け反りうめき声を上げる。
 巨大狼の喉元から飛び散る血。だが[ニズ]が黒い翼を振り下ろすたび、その血は次々に赤い花びらへと変わっていった。

 私は思わず目を見開いた。

 真っ赤な花びらはダークグリーンの風の渦に乗って、まるで公園で舞い踊っているようだった。血のように赤い花びらとダークグリーンの光の乱舞。私はその美しい情景に見入ったのだった。


 しばらくして公園が静まり返った頃、巨大狼の姿は消えていた。そして、[ニズ]は月の光を浴び、白く光る風を静かにまとう。そのまま背中の大きな黒翼を閉じたかと思うと、渦を巻く風の中でその姿を徐々に小さくしていった。

 そこに立つのは、見覚えのある黒髪の男。彼の後ろには白い満月が浮かぶ。背中にはダークグリーンに光る黒い大きな翼。そして暑い夏を感じさせない涼しげな顔にある、その瞳は濃いブルー。

【ミシェル・ニズ・フォルストです。遅くなりました】
 頭の中に静かに響く声。

 先ほどまでの恐怖感と、急にそれから開放された安堵感と……
 そして見覚えのある顔。一瞬にして半年前のあの忌まわしい出来事が頭をよぎる。

 私は再び訪れた恐怖で言葉が出なかった。