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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その1】

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 今朝ミシェルのことを思い出してから、学校に着いても一日中授業に身が入らず、何の変化もない右腕を時折押さえ、ずっと私は考え込んでいた。椅子に座り教室の窓から見える景色は、いつもと変わらない私の大好きな海が見える。

「おい!また海見てんのか?そろそろ帰ろうぜ」
 雄吾は私の机の上に勢い良くカバンを置き、先日やった補習テストの順意表を、私の目の前にチラつかせた。
「あ!ちょっと見せて!」
 私は慌てて順位表を奪い取った。
「ハハハ!今回はオレの勝ちだぜ?!」
 私の頭の上から順意表を覗き込み、雄吾が言った。

 順意表の下から2番目に柏木雄吾、1番下は海藤咲夜。実はクラスで最下位を奪い合う二人、補習授業でも最下位を争っていた。

「あのなぁ!しょうがないんだよ!ホントは私この学校に入れなかったんだから!」
 私は立ち上がって、雄吾の胸に叩きつけるようにカバンを渡した。
「またその言い訳かよ〜。入試ギリギリ合格すっとこんなもんだよなァ〜?アッハッハ!」
 雄吾は私の肩の上に腕を乗せて、豪快に笑った。

【てか、『ギリギリ合格』って言っていいのか?一度落ちてるんだけど】
 私は言おうとしたその言葉を飲み込んだ。きっと雄吾は信じない。

「あ?なにヘンな顔してんだよ?まさか、落ちたけど入学できたとか言うなよ〜?」
 私はドキリとした。どうも雄吾はカンがいい。

「ま、そんなことあるならオレはもっといい高校に入学してるはずだけどな。ハハハ!」
 気付いてるのか気付いてないのか……そう言いながら雄吾は教室を出ていった。