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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その1】

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「よぅ!」
 高校までの道のり、びっしりと建つ住宅の間の坂道を下り歩いている時、威勢よく後ろから声をかけてきたのは、薄茶色い短髪の体育会系男、柏木雄吾だった。同じ高校に通う近所のクラスメイトだ。
 ヤツはいつもこの辺りで後ろから声をかけてくる。きっと、先に家を出るのは私だろうが、うちより少しだけ上の場所に建つ雄吾の家からヤツが普通に歩いてきても、おチビな私は海を見ながらのんびり歩いているからすぐに追いついてしまうんだろう。
 隣に並ぶと彼は私を見下ろす。身長差30センチ弱はあるか。

 成績の悪い私たちは補習授業を受けるため、夏休みだというのに毎日高校へ通っていた。

「おぉ。雄吾おはよう。今日も暑いねぇ」
 私は海を見たまま日陰の下を歩いていた。
「海なんか見ながら歩いてると事故るぜ?」
「えっ?」

 『事故る』と聞いてフィルを思い出した。
 フィルが消される前まで、フィルは私を色々なものから護ってくれていた。
 そう、車にひかれそうな時も……それで私はつい後ろを振り返ってしまった。

 ごちっ。
 チカチカと星がチラつく朝だった……。

「イタタタ…。電柱あるの知ってて後ろから声かけんなよ?」
「ハハッ!まさか電柱にぶつかるとは!まぁ車にひかれるよりはマシだろ?」
 ニヤニヤしながら雄吾は言う。
「オマエに教えてもらわなくても車くらい避けて歩けるっつーの!」
「相変わらす咲夜はクチ悪ぃなぁ〜。いい加減女らしい言葉使えよ。女らしくしたら結構カワイイと思うけどなァ?」
「黙れ!私はこれでいいんだよっ!」

 私はぶつけた頭をさすりながら、また海を見て歩いた。その後ろから雄吾が満面の笑みでついてくる。雄吾はいつも私に女らしさを強要する。特に言葉使いとか。それがなきゃいいヤツなんだけど……

「なぁ咲夜〜、お前なんで海が好きなの?」
 雄吾は私の横に来て、高い位置から私の顔を覗き込んできた。