漢字一文字の旅 二巻 第一章より
十二の五 【違】
【違】、「韋」は都市の城壁に足跡の形の「止」が右に左にとある形。
これで進む方向が異なるので、違(たがう、ちがう)となったとか。
こんな【違】、世の中には【違】が一杯ある。
例えば、男の生き様はそれぞれ違う。
だがその違いは多くはない。
誰しも次の三つの内の一つだと言われている。
(1) 貴族のごとく、……美しくそうに生きる
(2) 野武士のごとく、……不満を抱えながら生きる
(3) 盗賊のごとく、……騙しながら生きる
なるほど、鮎風の場合は(2)というところだろうか?
そして女はこの(1)、(2)、(3)の中から男を選び、共に暮らし、そこから得られる結果は……、またこれが次の三つだと言われてる。
(1) 優越感
(2) 苦労
(3) 富
だが不思議なものだ。
ほとんどの女は異口同音に……、(2)の「苦労」だと言う。
「優越感」に「富」、こんな答えが返ってきたためしがない。
要は、たとえ男が違ったように生きても、女に至っては同じ結果になる……ということか?
男の【違】は、女の「同」、こういう定理となるようだ。
作品名:漢字一文字の旅 二巻 第一章より 作家名:鮎風 遊