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漢字一文字の旅  二巻  第一章より

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十一の六  【替】



【替】、上の部分は正面を向いて立つ人の姿。
そして下の「日」と組み合わさって、裁判で宣誓する原告と被告を表すとか。

裁判で敗れた者は棄てられるため、【替】はここから「あるものを除き、別のものを置く」の意味になった。

その通り、政権であっても【替】、あるもの(民主党)を除き、別のもの(自民党)、つまりアベノミクスの政治となった。
そして甘利大臣は高らかに、年末の日経平均は一万三千円になる、とぶち上げた。

それは早々と達成されてしまったが、石川さゆりの名曲・天城越えまでもが【替】え歌にされた。

『甘利越え』

隠しきれない デフレ香が
いつしか日本に 染みついた
誰かに盗られる くらいなら
バブルを起こして いいですか

値乱れて サプライズ
九十九折り 常連の買い
株上がり 円落ちる
肩の向こうに あなた……兜町(しま)が燃える

何があっても もういいの
くろだと燃える 火をくぐり
あなたと 越えたい 甘利〜越え

まさに世運隆【替】(せうんりゅうたい)、
時勢は衰えたり、盛んになったりするものだと思い知った今日この頃と言わざるを得ないのだ。

あ〜あ、何があっても もういいの、と思わず口ずさんでしまう。