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漢字一文字の旅  二巻  第一章より

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七の二  【憩】



【憩】、「舌」と「息」と「心」が組み合わさっている。
だが「舌」はべろではなく、「活」。「息」は「休息」の意だとか。
そこから休息して活力を回復させる意味となる。

かって「いこい」という煙草があった。
昭和三一年(1956年)に、茶色のパッケージに五線譜と四分休符、こんなデザインで販売開始された。

二〇本入りで、四〇円、後日は六〇円に。
タールは13ミリグラムだ。

「今日も元気だたばこがうまい!」
これがキャッチフレーズだった。
そう言えば、大人たちは美味そうに吸っていたのを思い出す。
まさに【憩】のようだった。

この「いこい」は当初「しんせい」とともに、すでにあった「ゴールデンバット」や「光」より人気商品となった。
しかし、昭和三五年(1960年)、フィルター付きの「ハイライト」が登場する。これで人気は下降線に。
結果、昭和四九年(1974年)に生産は終了する。
それ以降、街角で【憩】ってる大人の姿は見られなくなった。

それにしても「ゴルデンバット」、明治三九年(1906年)に発売開始され、一世紀の時が流れた。そしてそれにも関わらず、現在も売られている。
驚きだ!
要は「金のコウモリ」が【憩】に勝ったということなのだろうか?

いずれにしても、【憩】という漢字、こんなことを思いながら、充分に【憩】わせてくれる。