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漢字一文字の旅  二巻  第一章より

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五の六  【箱】



【箱】、元は車の荷受けの「はこ」の意味。
それから木などで作った蓋をかぶせて【箱】となったとか。
こんなの全部【箱】じゃないかと思うが、……。

箱根の山は 天下の険
函谷関(かんこくかん)も 物ならず
万丈(ばんじょう)の山 千仞(せんじん)の谷
前に聳え(そびえ) 後に(しりえに)支う(さそう)

【箱】から思い付くのが箱根。だがなぜ【箱】なのだろうか?
駒ヶ岳がどうも箱に似ているかららしい。ここはウンウンと頷くしかない。

そして新年のイベント、それはなんと言っても箱根駅伝だろう。
正式には東京箱根間往復大学駅伝競走と大変長い名称だ。そして意外にも、大学駅伝の関東チャンピオンを決める、単なる地方大会だとか。

それなのになぜ毎年これほどまでに盛り上がるのだろうか?
それは1920年2月14日に第一回が開催され、伝統の中で様々なドラマがあったからだろう。

総距離 217.9km (往路 5区 108.0km/復路 5区 109.9km)を、10人の走者が、総時間約11時間かけてタスキを繋ぐ。
現在まで11時間を切ったのは、第70回(1994年)山梨学院大学の10時間59分13秒だけだそうだ。とにかく過酷なレースだ。

それにしても、往路と復路の距離が違う、なんで? となるが、
都内のルートが少々異なっているからだ。

そんな箱根駅伝、元は約100年前、日本の長距離選手を育成のため「アメリカ大陸横断駅伝」が企画された。
だがアメリカ横断となれば、ロッキー山脈が大きな障壁となるだろう。
それを見据えて、天下の険の箱根が選ばれ、代表選考会が開催される運びとなった。

おいおいおい、箱根とロッキー山脈とはちょっとレベルがちがうんじゃないかと言いたくもなるが、そのとてつもない発想にとにかく敬意を表したい。

いずれにしても【箱】という漢字、いろいろな話題が詰まっている。