漢字一文字の旅 二巻 第一章より
十八の二 【以】
【以】、鋤の象形であり、音読みで(もって)と読む。
2020年の東京オリンピック、そのキ−ワードは「おもてなし」。
この「おもてなし」の語源は……『以て、成す』……だ。
ならば何を以て、成すのか?
身を殺して 【以】て 仁を成す
和を【以】て 貴しとなす
こんな言葉があるが、いずれも『何を以て』が明確だ。
2020年の東京オリンピック、具体的に何を【以】ての「おもてなし」なのだろうか?
和の心を【以】て……?
そんなの……和の心って、具体的に何? と日本人でもかわからないと思うが。
やっぱりここは快適さ、利便性、それとも一体感?
何を以ての「おもてなし」? 見つからない。
ならば、こんなのどうだろうか?
おもろく、お得感を以て 東京オリンピックと成す
うーん、バツバツバツ。
大阪オリンピックならドンピシャだが……ね。
いずれにしても、東京オリンピックのおもてなし、
【以】てのほか──だけにならないことを願いたいものだ。
作品名:漢字一文字の旅 二巻 第一章より 作家名:鮎風 遊