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漢字一文字の旅  二巻  第一章より

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十五の六  【面】



【面】は(メン、つら、おもて)で、目だけが表れている仮面の形だとか。
そう思って、【面】という字を眺めてみると、なるほど目がギョロッとしてるような……?

そんな【面】、「白」と引っ付き「面白い」となる。
【面】が「白く」て、なぜ「面白い」のだろうか?
不思議だ。

調べてみると、いろいろ説があるようだ。
いくつか紹介してみよう。

説−1 楽しい時は目の前がぱっと明るくなり、
   【面】(顔)が白く照らされたようになる。この状態を「面白い」という。

説−2 昔、人たちは火を囲んで楽しく談笑した。
    顔が白く浮かび上がり、その楽しい状態が「面が白い→おもしろい」と。

説−3 友人とバカ話し。笑いすぎ、咳き込んだら、顔面蒼白に。
    そこから「顔面蒼白→面が白い→おもしろい」となった。

説−4 妻が真っ白に化粧し過ぎた。それを見た夫、思わずプッと吹き出した。
   「化粧→面が白過ぎ→おもしろい」となった。

そして本邦初公開、ここに鮎風の新説を。
なぜ【面】と「白」が引っ付き、「おもしろい」という意味になったのか?


新説−1 ダンナが浮気をした。
     怒った奥さんがダンナの首を絞める。
     するとダンナの顔から血の気が引き、白くなった。
    「ざまあ見ろだわ。めっちゃおもしろい」と、実に奥さんは楽しそう。
     つまり「面が白くなった→おもしろい」と。

新説−2 厚かましい部長が気に食わない。
     宴会で酔いつぶしてやって、ヤツの面皮を剥いでやったら、
     その下から「白」(白骨化したドクロ)が表れた。
     恐くってギョッとしたが、これって結構ゾクゾク、ワクワクした。
     だから「面皮を剥ぐ、白→ゾクゾク、ワクワク→おもしろい」となった。

とにかく【面】、面白すぎる漢字なのだ。