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てっしゅう
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「哀の川」 第三十五話

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二人は新神戸から病院へタクシーで向かった。直樹の携帯が鳴った。
「もしもし、ああ、純一か!どうした?」
「さっきばあちゃんから電話があって、聞いたんだよ。じいちゃん危険なんだって!ボクも授業終わってから聞いたから、今から駆けつけるよ」
「そうか、そうなのか・・・じゃあ、病院でな。今新神戸から向かうところだから、すぐに着くよ」
「うん、じゃあね、あとで」

薄暗くなりかけた神戸の街はなんだか悲しい色を感じさせている。二人の心にいやな予感がよぎった。

「ねえ、直樹・・・私凄くいやな予感がするの、あなたは?」
「ボクもだよ・・・胸騒ぎがする。兄弟だね・・・気持ちが同じだ」
「状況がわからないけど、何とか着くまで頑張っていて欲しいわ」
「祈ろう・・・それしかない」直樹は目を閉じた。杏子も目を閉じて、直樹に寄り添った。運転手には仲の良い夫婦か恋人にしか見えなかった。