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帰り道

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外に出た。出てから男は考えた。
(このまま別れていいんだよな。こいつも帰るんだよな。それにもう夜中だぞ)
駐車場に向かう男の後を女はついて来た。
男は、足を止め、振り返って聞いた。
「電車はもうないと思うけど、キミはどうするつもりなの?私ももう帰るところだし」
男は、ふと気付いた。先日はどうしたのだろうか……と。
「あ、この前はどうしたの?」
男は、案外ストレートな聞き方をしたあと、駐車場へとつま先を向けた。
女の足音はついて来なかった。
おやっと振り返った男の目に女の背中が見えた。
「帰るの?」
女はそのまま頷いた。背中が離れていく。
(ほおっておこう。関わったって仕方ない)
駐車場まで男は行くと、車に乗り込んだ。
道路へと出たが、帰るべき方向とは逆の女の歩いていった道を走った。
女の姿は見当たらない。
もしやと会社の近くの電車の駅に降りていく階段を見に行った。
鉄網のドアの手前で階段に腰掛けている女を見つけた。
「何してるんだよう」
「開くの待ってるの」
「開くって、朝でしょ。始発のことでしょ。タクシーでも拾えばいいじゃないか!」
男の声が徐々に荒立っていく。
それとは反対に 女は笑みを浮かべる。明らかにわかる作り笑いだ。

作品名:帰り道 作家名:甜茶