神様ソウル2 -神崎君の恋人-
「あれが幽霊か……なんか意外と普通なんだな」
改めて僕は神崎と会話を交わしている幽霊を見た。着物姿に長い髪。服装を除けばどこにでもいそうな普通の女の子だ。
「まぁ生前の姿そのままである場合が多いので。基本的には普通の人間ですよ」
「この前言っていた魂がどうこうってやつか」
「はい。生前の記憶が刻み込まれた魂がこの世界を彷徨っている状態があれですね」
「えーと、魂と脳の記憶は別物だったんじゃなかったっけか」
「あ、ちゃんと覚えてたんですね。そうなんですが、肉体が記憶したものは魂に蓄積されていくんです。転生して再び現世によみがえる際にはこちらで魂の記憶を白紙に戻す処理を施しているから、こっちの世界で生まれる時には完全に記憶がゼロの状態になっているんですが」
「どうしてそんなことをするんだ?」
「体から分離した魂が予測のつかない動きをする可能性があるからです。何も知らなかったら黙ってこっちの誘導に従ってくれるでしょ」
「ふーん。みんな死んだら記憶を消されちゃうんだな」
「例外も何人かいますけどね。君なんかもそう。もともとこっちの世界の魂だから」
「へぇ。というか幽霊ってあんな風に普通の人間と会話できるもんなのか?」
「普通はできないですね。そういう素養を持った人間もいますが。あそこの神崎彰吾はそうみたいです」
「どんな話してんのかな」
「もう少し近づいてみますか」
作品名:神様ソウル2 -神崎君の恋人- 作家名:くろかわ