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神様ソウル2 -神崎君の恋人-

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 木々が何本も並ぶ森の中。そこだけ月の光が遮られることなく降り注ぎ、一種不気味な明るさを保っている。
 恋人のために死を選ぶことができなかった者。
 そして、自分のために恋人のしを願った者。
 その二人が、月の光を全身に浴びて抱き合っていた。
 言葉を交わすこともなく、相手を自分の腕の中に収め、お互いの思いを全力で現していた。
 それは、僕が今まで見たどんな物よりも美しい光景だった。 「あ」
 神崎と舞が同時に声を上げた。舞の体が白く輝き出していたのだ。
 「ふー。間に合いましたね」 いつの間にか僕の傍から離れていたテミスが後ろの木々の間から現れた。制服のブラウスのボタンを二つまで外し、手でパタパタと胸元を仰いでいた。
 「テミス」
 「……なんというか、言葉に表すのが難しい光景ですね」
 抱き合う二人を見てテミスは言った。久々に見る彼女の笑顔だった。
 「時間みたい」
 「舞」
 「お別れだね」
 「ああ」
 「ちゃんと学校行くんだよ」
 「うっさい」
 「ふふ。……それじゃあね」
 「おう」
 舞が小さく微笑んだ。そして、彰吾に自分の唇を重ねた。
 瞬間、強い光が辺りを照らす。
 数秒後、光は収束し元の暗さを取り戻した。
 月明かりが注ぐ薄暗い広場。その中央で神崎が立ち尽くしていた。
 もちろん、そこには神崎の他に誰の姿もなかった。