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神様ソウル2 -神崎君の恋人-

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「あれ、舞は?」
 僕が神崎と共に元いた場所に戻ってくると、そこではテミスがでむすっとした顔で腕を組み一人で佇んでいた。
 「神崎くんに合わせる顔がないって隠れちゃった」
 「……舞」
 見回してみるが舞の気配はない。この辺りにはいないのだろうか。
 「気の使い方が違うだろ……今日で最後なんだぞ……」
 「舞!出てきてくれ!!話がしたいんだ」
 神崎は走り出し、木々の間を駆け抜けながら叫んだ。
 「舞、どこにいるんだ。舞!!」
 「彰吾くん」
 神崎の呼びかけの合間を縫って、舞の静かな声がどこからともなく聞こえてきた。
 「舞、そこにいるのか」
 「動かないで」
 神崎が舞の声を頼りにその方向へ歩きだそうとすると、舞が強い口調で言った。
 「……私、もう彰吾くんに会いたくない」
 「もう一回、二人で話そう。これから先どうするか考えようよ」
 「もう答えは出てるでしょ」
 「まだ出てない!二人でずっと一緒に暮らすことも出来るんだぞ!」
 「私と一緒になるためには、これから先の人生を全部捨てなきゃいけないんだよ」
 「構わないよ。舞のためなら構わない」
 「だめだよ。そんな風にして一緒になっても、私心の底から笑えないよ。彰吾くんとの時間を楽しめない」
 「じゃあ俺達は今日でお別れか」
 「そうだね。そうしよう」
 「……でもまだ時間はある。せめて話だけでも」
 「……それもだめ」
 「どうして!」
 「私わかるの。自分の中の悪い感情がどんどん大きくなって抑えられなくなっていってるのが。彰吾くんの声聞いてるだけでおかしくなりそうなんだよ」
 「舞……」
 「だからここでお別れにしようよ。お互いがお互いを一番好きな時のまま、終わりにしよ。ね」
 「…………」
 「ばいばい、彰吾くん」
 「……うん」
 神崎は小さな声で返事をして、森をあとにしていった。僕とテミスは名残惜しむような足どりで歩く神崎を、その背中が見えなくなるまでずっと見つめていた。