神様ソウル2 -神崎君の恋人-
森を出てから神崎を見つけるまでに大した時間はかからなかった。僕はあがった息を整えながら、とぼとぼと歩く神崎の後ろ姿に声をかけた。
「神崎」
「……里見」
「どこに行くつもりだよ」
「……わからない。特に考えてなかった」
「神崎……」
「さすがに死ぬのはきちーよ……」
「だな」
「なぁ、舞を成仏させるのってどうしても避けられないことなのか?」
「……難しいと思う。霊が与えるこの世界への影響は相当に大きいらしいんだ」
「舞は悪いことなんて何も考えてないよ。幽霊であることを除けば普通の女の子だ。だからさ、頼むよ」
「……ごめん、俺は何も言えない。俺もわからないことばかりなんだ……ごめん」
「そーかい……」
「神崎、森に戻ってみんなで話そう」
僕が促すと神崎は体の向きを変え、ゆっくりと森の方向へ歩き出した。
「あいつ、家族に恵まれなくてさ」
「うん」
「ずっと一人ぼっちで育ったんだよ。だから」
「うん」
僕は神崎と並んで歩きながら、彼の話を聞いていた。それだけしかできなかった。
作品名:神様ソウル2 -神崎君の恋人- 作家名:くろかわ