神様ソウル2 -神崎君の恋人-
「……ちょっと期待しちゃいました。もしかしたら、彰吾くんなら頷いてくれるかもって」
風で揺れる枝と葉達の擦れ合う音だけが僕らの周囲を支配する中、舞がぽつりと呟いた
「しょうがないよ。あんなこと言われて即答出来る奴なんていないだろ。命が懸かってるんだから」
「そうです。だけど私そんなこと全く考えてなかった。……全く考えずに私、彰吾くんに死んで欲しいって思ってました」
「…………」
「テミスさんの言ってたこと、なんとなく理解しました。悪霊ってこういうことなんですね」
舞が眉間にしわを寄せて笑った。
「誰かに危害を与えてしまう前に成仏します、私」
「ちょっと待て、それでいいのかよ」
「はい。森から出ることもできたし、生まれ変わることに関しても特に不安はありません」
「俺は神崎とのことを言ってんだよばかやろう」
「もういいんじゃないですか。これ以上は互いのためになりませんし」
「いいわけないだろ。そんな顔して何かっこつけてんだよ」 「だって……耐えられません私。もう彰吾くんのこと考えるだけで苦しいんです。きっと次あったら私彰吾くんに酷いこと言ってしまいます」
「言って嫌われる方がまだましだろ。ここで躊躇ったらお前らほんとにそれっきりなんだぞ」
「…………」
「神崎のとこ行ってくる」
「ヒロトさん」
「舞は頼んだぞ」
「はい」
僕らのやり取りをずっと黙って見ていたテミスに声を掛けると、彼女はニヤリと笑って返事をした。
僕は神崎の後を追って走り出した。
作品名:神様ソウル2 -神崎君の恋人- 作家名:くろかわ