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神様ソウル2 -神崎君の恋人-

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 「彰吾くん……」
 神崎のそばに舞が歩み寄り腰を下ろす。
 「忘れてたわ。あなたたちが離ればなれにならないですむ方法が一つだけある」
 「なんだ」
 神崎が頭を上げて食いついた。
 「多分あなたにはできないと思うわ」
 「できるよ、する。舞と一緒にいられるならなんでもする。教えてくれ」
 「わかったわ。話しましょう。あなた達二人の間にある最も大きな問題は生者と死者であるという点よね。でも、死んだものを生き返すことはできない。とすれば残る選択肢はあとひとつよね?」
 神崎はテミスの言っていることの意味をすぐに理解したようだった。たっぷりと間を置いて、静かに言葉を発した。
 「俺に死ねっていうのか……」
 「そう。あなたの舞と一緒になりたい、という思いが本当に強ければ、霊魂としてここに留まる可能性がある。そしたら二人揃って向こうの世界に送ってあげる。向こうでは心中したカップルや家族達をその世界の住人として受け入れた例がわずかだけどある。あなた達の思いが強ければその審査にも通ることができるでしょう。そしたら、あなた達はずっと一緒よ。年も取らずに永遠に二人でいられる。どう?あなたは舞のために死ぬことはできる?」
 「…………」
 「彰吾くん」
 舞が何かを求めるような調子で神崎に話しかけた。神崎は口を閉ざしたままで何も答えない。
 「……彰吾くん」
 舞の二度目の呼びかけを合図にしたかのように、神崎は突然立ち上がり、歩き出した。僕とテミスの間を通り抜ける。出口の方向だ。僕もテミスも舞も、神崎の後ろ姿を黙って見つめていた。離れていくに連れて徐々に早足に、最後は駆け足で。神崎は森から去っていった。