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神様ソウル2 -神崎君の恋人-

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 「何やってんだお前ら……」
 その日神崎が僕に向けて発した最初の台詞はこの一言だった。
 森に到着しても神崎が一向に現ないので座り込んで木によりかかって休んでいたら、テミスと二人揃って眠りに落ちてしまっていたらしい。
 「遅いじゃない神崎くん。もうお昼過ぎよ。待ちぼうけたわ」
 「別にいつも来る時間を決めてるわけじゃないからな。俺になんか用か?」
 「ちょっと話があってね。舞ちゃんを本来いるべき世界に帰しましょう、っていう話なんだけど」
 神崎の表情が険しいものに変化した。
 「……どういうことだ。詳しく話せ」
 「詳しくも何も。幽霊はこの世界にとって有害な存在だから見付けた場合いち早く送還しなければならない。そういう決まりがある、それだけよ」
 「決まり……?お前は一体何者なんだ?」
 「除霊師みたいなものと考えてくれていいわ。とにかく、恋人であるあなたにもこの話をしておかないとと思って。それで今日はここで待ち構えてたの」
 「待てよ。いるべき世界に舞を帰すって、舞が決めたことなのか?」
 「いえ、私が決めたことよ」 「ふざけんな。勝手に決めてんじゃねぇよ」
 「あのね、別に神崎くんの了解を得るためにこの話をしにきたわけじゃないの。もう決まってることだから。最後の一日を悔いなく過ごして欲しいから伝えたのよ」
 「なんだよそれ……最後の一日って、今日のことか?」
 「そうよ」
 「……」
 神崎は言葉を失っていた。
 「今日の夜、私の知り合いの方がここに来て舞を成仏させる。それまでは好きに過ごしていいから。私の目の届く範囲にはいてもらうけど」
 「待って。待ってくれよ……」
 消え入るような声。その場に座り込む神崎。無理もない、何もかもが突然すぎる。
 そんな彼を尻目に、テミスは砂埃で汚れたスカートをぽんぽんとはたきながら携帯電話を弄っていた。異世界人である彼女にとっては彼らの別れや悲しみなどは取るに足らないことなのだろうか。