最後の魔法使い 第四章 『地の魔法、火の魔法』
日が高く昇り、ずいぶん気温も上がった。朝夕と昼間の気温の変化が激しいのもこの国の特徴だ。特にロウアー側はその差が大きく、一日に何度も着替えなければいけないこともしばしばだ。
ジュダが薄手のシャツをアレンに貸してくれたので、アレンは着ていたシャツを脱ぎすてた。洗いたてのシャツを着ると幾分すっきりした。
ジュダはアレンを裏庭へ連れて行った。大きな枝を持ち上げると、ジュダは地面に大きな円を描いた。
「何してるんで…」
アレンが聞きかけたが、ジュダは人差し指を口の前に立てた。静かにしろということらしい。ジュダは両手を地面にかざしながら、聞きなれない呪文をすらすらと唱えた。古代魔法の響きに似てはいたが、アレンには聞き取れない言葉だった。
ザザザ・・・
裏庭の周りに生い茂っていた木々が騒がしく音を立てた。嵐の前のような、アレンを不安にさせる響きだった。音はすぐに収まったが、不安な気持ちはそのままだった。
「これでよし。」アレンの方を振り向いて、ジュダが言った。「アレン、こっちに来なさい。」
疑問に思いながらも、アレンはおとなしく円の中に足を踏み入れた。そこは外よりもずっと暖かかった。アレンが円の中に入ると、ジュダはそっと外側へ出た。
作品名:最後の魔法使い 第四章 『地の魔法、火の魔法』 作家名:らりー