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最後の魔法使い 第四章 『地の魔法、火の魔法』

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「でも、どうすればいいんですか?逃げなきゃ…俺はここにいちゃいけないんです。」
そう呟いたアレンの肩を、ジュダはがっしりとつかんで揺さぶった。
「今はまだ、『逃げ回る』ことを考えるな。君にはそんな力はないんだから。アッパーは君が魔法使いだということを忘れやしないし、君を見つけるまでずっと追いかけまわすだろう。逃げ切るなら、すべてを置いていかなければいけないよ、アレン。もう昔の生活には戻れないんだよ。悲しいけど、それが現実だ。理由はどうであれアッパーは君の存在を知ってしまったんだから…。」
アレンは事の重大さに圧倒された。魔法使いであるという、たったそれだけの理由で、アレンは故郷へも、最悪はこの国へも戻ることはできないのだ。いや、この国を出るのが早いか、殺されてしまうのが早いか、どちらもアレンにとって恐ろしかった。
ジュダは自分の席に戻って、薄パンを乱暴にちぎって口に詰め込んだ。
「とにかく。」ジュダがまごまごと言った。「君はまず自分のことを知るべきだ。火の魔法も使えるようにならないといけない。知っているだろうが、この国の国境を見たものはいないんだ…あの魔法使い達を除いては。そこまで無事にたどり着いて、国を出る「準備」ができるようにならないと。…そのためには腹ごしらえが必要だ。食べなさい。」
あまりにたくさんのことが肩に乗っているよう気がしたが、ジュダの言うことはもっともだとアレンは思った。スプーンを手に取り、スープを一口飲んだ。ジュダは満足そうにうなずいた。
長い一日になりそうだ、とアレンは思った。