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最後の魔法使い 第四章 『地の魔法、火の魔法』

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学校に通っていたころ、アレンは古代魔法が一番得意だった。今はもう使われることがないので、古代魔法はただのロウアーの間での教養として教えられている。学校で習った古代魔法は、呪文が現代魔法より何倍も長くて発音も難しいものばかりだった。生徒はおろか、それを教えている先生ですら正しく読めることはなかったが、アレンはなぜか一度も間違えずにすらすらと読めた。ロウアーの魔法は「呪文を間違えずに一度に一定のリズムで唱える」というのが発動の条件なので、学校で教える場合、実習以外ではわざと区切ったりして、呪文を習う。あまりアレンがすらすらと読むので、先生たちはあまりアレンに古代魔法の呪文を読ませなかった。古代魔法は、現代魔法とは比べ物にならないくらい荒々しかったからだ。
アレンは一度だけ、『フォール』と呼ばれる一時的に滝を作り出す古代魔法を使ったことがある。友達のキースと一緒だったのだが、呪文を唱え終えた瞬間、アレンとキースは滝つぼの底にいた。まさか本当にうまくいくとは思っていなかったので、アレンはあわてて解除の呪文を唱え、何とか二人はおぼれずに済んだ。あのときアレンが解除の呪文をきちんと唱えられていなければ、二人はおぼれていたかもしれない、とのちにキースはけたけた笑いながら言うのだった。
そんな思い出を懐かしく思いながら、アレンは興味本心で本を開いた。思った通り、古代魔法がいくつもいくつも並んでいた。ぱらぱらとめくっていると、一つの項目をアレンは見つけた。

「『サイレント ツリー…沈黙の木。外敵を捕まえた際に限って、アシャール(植物の一種)のつるを使って敵を縛りつける魔法。解除の呪文を唱えない限り、火の魔法でも解けることはない。強く唱えると相手を縛り殺すことができる』…か。古代魔法は物騒だな、やっぱり。」
物騒ではあったが、アレンは呪文の発音のリズムが気に入った。アレンは周り
を見渡して誰もいないのを確認すると、そっと呪文を唱えてみた。