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てっしゅう
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「哀の川」 第三十四話

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車は杏子の頼みで三宮の実家へと向かっていた。嬉しい話は早いほうがよいと、両親に報告するためだ。佐伯は少しためらっていたが、杏子の「こんな歳同士だから、気にしなくていいのよ。報告だけすれば・・・」と言う言葉に従うことにした。杏子の両親は、純一から聞いていたのか、それほど驚きもせず、佐伯を優しく迎えてくれた。純一も傍にいて、二人の報告を聞いていた。

「お父さん、お母さん、前の結婚は失敗だったけど、今後はお互いに失敗したもの同士なので、分かり合って行けると思うの。神戸で佐伯さんと幸せになるわ。だから、祝福してね。純一も」
「杏子・・・いまさら何も言うことは無いよ。お前が掴んだ幸せなんだから、お前が思うようにやればいいさ。佐伯さん、娘を幸せにしてやってくださいね」父親は涙を浮かべて佐伯の手を握った。
「はい!僕たちはお互いに再婚同士になります。杏子さんに二度と悲しい思いはさせません。誓いますから、結婚を許してください」