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てっしゅう
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「哀の川」 第三十四話

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「佐伯さん・・・私ね、直樹のこと、ずっと忘れられなかったの。純一とのこともその延長だったのね。あなたにはすべて知っていて欲しいから話すけど、直樹を取られた麻子さんへの嫉妬もあったのよ。でも、純一と話しているうちに、あの子の素直で優しい気持ちに自分がしていること反省するようになったの。私のこと一番思ってくれていた直樹に対して、なんてことをしたんだろうかって・・・兄弟で結ばれるなんて、絶対にいけないことだったのよね・・・純一ともそう。こんな女でも、あなたは構わないの?」
「杏子。良く話してくれたね。今吐き出したから、もうこれからは忘れよう。俺がこれからはキミの支えになるから、そうさせてくれ。初めて会っていきなりだけど、好きだ!結婚して欲しい・・・」

突然の告白に心が揺れた。佐伯の優しさに自分を任せよう、そう決めた。
「私も、好きよ。ずっと一緒に居たい・・・子供出来ないけどいいの?」
「もういらないよ、二人でずっと仲良くやってゆこう」

杏子は運転している佐伯にしがみついた。逞しい太い腕が安心感を与えてくれていた。