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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第十二回・弐】ハリスのハリセン

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「…何してんだお前等;」
数回そんなことを繰り返していた二人に除いていた京助が呆れたように突っ込んだ
「きょ…;」
阿部と緊那羅が同時に口を開きそして同時に口をつむいだ
「シンクロしてるシンクロしてる;」
そんな様子を見て京助がまた突っ込む
「お…お菓子食べよ!; お菓子ッ!!;」
阿部がお供えとは別に持ってきた包みをゴソゴソと取り出す
「あ、じゃあ私は飲み物…ッわ;」
阿部の行動につられたのか緊那羅がすっと立ち上がった…がいきなり立ち上がったのでよろける
「ラ…!!;」
「…っぶねぇなぁお前;」
仏壇の方に倒れそうになった緊那羅の手を京助が引張ると阿部の頬がぴくっと引きつったように見えた次の瞬間

ヒュン

ゴッ…

「ハイ!! お菓子ッ!!!」
阿部の投げたお菓子の箱が京助の頭に見事命中した
「…なんですかコレは阿部さん;」
ゆっくりと自分の頭にのっかっていたお菓子の箱を両手で取り京助が阿部を見る
「お菓子ッ!! アタシはラムちゃんの手伝うからッ!!」
勢いよく立ち上がった阿部が京助が掴んでいた緊那羅の手を勢いよく掴むと大股で和室を出て行く
「…鈍いんだやな」
「今の音からしてきっとくっきーなんだやな」
空けていた和室の窓からコマイヌが顔を覗かせて言う
「…わけわからん;」
和室に入ってきて足元でピョンピョンはねてお菓子を取ろうとしているコマイヌに箱を取られないよう箱を頭上に持ち上げた京助が空いている手で頭をさすりながら廊下の方を見て口の端をあげた

「ちょ…あべさ…ん?;」
阿部に手を引張られて阿部と同じように大股で歩く緊那羅が阿部を呼ぶ
「何ッ!!」
止まった阿部が声を上げる
「…な…んでもないっちゃ;」
その気迫に負けて緊那羅が苦笑いを返した
「いいな…」
「え?」
緊那羅の手を離しながら阿部がボソッと呟いた
「なんでもないっ; ね、何人分コップ用意するの?」
きょとんとしている緊那羅に阿部が笑顔で聞く
「え…?; えっと…えーと…京助悠助…ゼンゴに…阿部さん…矜羯羅に鳥倶婆迦に…それからー…」
「多めに用意しよっか;」
指折り思い出して名前を挙げていく緊那羅に時間の無駄だと思ったのか阿部がさくっと突っ込む
「そうだっちゃね; …きっと三人くらい…増えると思うっちゃ」
緊那羅が笑った