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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第十二回・弐】ハリスのハリセン

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「…あ! そうそう」
少しして京助が何かを思い出して緊那羅を振り返った
「買い物いったら外人いたんよ外人」
「がいじん?」
「あー…んとヨソの国の人」
きょとんとした顔で聞き返してきた緊那羅に京助が説明した
「日本人じゃねぇっていう…アメリカとかの」
台所で冷蔵庫からパックのアクリアスを取り出しストローを刺そうとして片手を使おうとした京助がまだ悠助に握られているのに気付いてアクエリアスをテーブルに置いた
「悠…;いい加減放せよ;何もできん;」
京助が悠助の頭に手を置いた
「やだ」
答えはさっきと一緒だった
そしてやっぱり京助が溜息をついて緊那羅が買い物袋を畳みながら苦笑いをした


「悠…暑い;」
夏休み中間辺り、北海道にも夏らしき夏がやってきて栄野家の窓という窓が全開になった午前11時ちょいすぎ
少しでも暑さから逃れようと風通しのいい和室の日陰にいる京助の背中にはべったりとくっついたままの悠助
「義兄様ずーるーいー!!!」
「んなこといわれたってなぁッ!!!;」
京助の首にぶら下がっている悠助をみて慧喜が怒鳴ると京助も負けじと怒鳴り返した
「…夏休みとか言うのに入ってから悠助はずっとそんなかんじだね…」
前髪をアメピンで左右に別けた矜羯羅がチミッコ竜を二人抱えて和室に入ってきた
「…やっぱりここが一番涼しいね…」
そういってチミッコ竜を床に降ろすとひとりがよたよたと歩き出した
「ぉおおお!!!; もう歩くのかコイツ!!;」
ソレをみて京助が声を上げる
「ぷ」
よたよた歩いてきた一人のちみっこ竜が京助の足に捕まってヨダレだらけの笑顔を京助に向けた
「僕たちの力を少しずつ与えているからね…」
一方床に座り込んだもうひとりのチミッコ竜の頭を撫でながら矜羯羅が言った
「は?; 力与えて…って…」
「来月辺りにはたぶん話せるようになると思うよ…」
「いや…ってかいいのかソレ;」
チミッコ竜を抱き上げふっと笑った矜羯羅に京助が突っ込んだ
「力は作れるんだよ…食べ物から休息から…想いから…ただその変換量が違うだけ…宝珠によってね…竜の宝珠は後ひとつ…いくら竜でもひとつの宝珠じゃ満足に力に変換できないから僕らが手伝っているだけ…制多迦を助けてくれたからね」
矜羯羅の説明を京助が黙って聞く
「作られた力を蓄えるのも宝珠…宝珠がなければ僕らも京助達と何も変わらないんだよ…全ては宝珠が…あるからこそなんだ」
「…ふぅん…」
京助が足元のチミッコ竜を抱き上げた
ヨダレだらけの満面の笑みに京助が口の端を上げて苦笑いをした
「ごめんくださーい」
玄関先から高い声で誰かいないかたずねる言葉が聞こえた