【無幻真天楼 第十二回・弐】ハリスのハリセン
「ハッハッハ---------!!! いいね-------そのノリ突っ込み!!!」
今までこらえていたのかハリスが急に笑い出した
「…ハリス…先生…?;」
阿部が恐る恐る呼ぶ
「アベ、ハリスでいいよハリスで」
そんな阿部の肩をハリスが叩いて言う
「先生ちゅーでも臨時だし短期間だしさ先生つけたら壁できるだろう? 仲良くフレンドリーにOK?」
ハリスが笑いながら一同に言うと一同が戸惑いながら頷いた
「いやしかし…お久しだな」
腰に悠助を引っさげたままで京助が南と坂田を見た
「んだねぇ…こげに会わなかったの…って本当ねぇ気がするねぇ…一匹足らないけど」
南がしみじみ言った後うんうん頷いた
南が言う【一匹】というのはおそらくも何も影が薄いがスネ毛は異様なまでに濃い中島のことだろうとハリス以外の全員が思った
「一匹っては?」
案の定ハリスが【一匹】について聞いてくる
「あのねこいつら…京助と南と坂田と…もう一人中島っていうのがいるの…ハリスより…少し背は低くて…その中島とここにいる三人めちゃくちゃ仲がいいんだ」
阿部がハリスに3馬鹿と京助の仲のよさ(?)を説明するとハリスがほほ~っと言う顔で頷きながら京助、坂田、南を順に見る
「…で…そっちの金髪…」
ハリスが指差した人物に一斉に視線が向いた
「…え?;」
今まで蚊帳の外にいた緊那羅が少し驚いて一歩たじろく
「…あ…その子は…」
そこまで言った阿部がはたと何かを思ってなのか緊那羅を見たまま言葉をとめた
それからしばらく何も言い出さない阿部に今度は一同の視線が集中する
「…阿部…ちゃん?;」
南が阿部の名前を呼ぶ
「おーい…?;」
京助も手をヒラヒラと振ってみるが阿部はただそのまま緊那羅を見つめる
「…阿部…さん…?;」
一向に自分からそらされない阿部の視線を何とかしようとしてなのか緊那羅も阿部の名目を口にした
ブィー…ン…
ジーワジワジワ…ミーッチョンミーッチョン…
ザー…ン…
沈黙したままの一同の周りでは色々な音が絶え間なくして
夏の日差しが真上から降り注いでいる
「あっつい~…」
悠助がぎゅうっと京助の腰にさらに強く抱きついた
「…アベ?」
ポンっとハリスが阿部の肩に手を置くと
「…ラムちゃん…って…」
阿部が何分かぶりに口を開いて言葉を発した
「…緊那羅?」
その発しられた言葉でまたも緊那羅に視線が集中する
「…操…」
作品名:【無幻真天楼 第十二回・弐】ハリスのハリセン 作家名:島原あゆむ