天然優等生vsツンデレ優等生
「ふわぁあ…っ」
眠い。俺はプライドが高い。そのプライドに見合った生まれながらの才も持っている。
だから意味もわからず二人の尊敬に値しない男どもに笑われているのはきわめて不愉快だ。気になる木になる…気になってしょうがない。……くて昨夜は眠れなかった。
我ながら情けないがどうしようもなかった。苛々するなまったく。
そして現在は正に俺が最近やっと聞く姿勢を持ち始めた…持ちざるを得なかった古典、渡里の授業だ。そりゃあ欠伸も出る。
と…まあ、あたりまえだが渡里がこちらを見る。目が合う。
渡里が悲しそうな顔をする。
心底うぜぇなおい!!
「くくっ」
……え、笑われた?
渡里…ではない。奴は心底悲しそうな背中をこちらに向け黒板に字を書いている。
修平は違うクラスだ。まさか…
キョロキョロと俺が教室全体を見回しているとさらにくっくっと聞こえ位置が判明した。
斜め少し前の席に座る話したこともない男子生徒だった。
「おまっ…!」
思わず立ち上がり、そいつを指差してしまった俺に教室中の視線が集まる。
それもそうだ。今までクラスの人間と話したところなど見たことのない優等生がいきなり授業中に大声あげて立ち上がりゃあ、誰だって驚いて振り向く。
事態を把握した俺は、さすがに顔が熱くなりそのまま席に着く。
修平とあの変態意外に俺を笑うことが出来る奴なんていると思わなかったから思わず感情が表面化してしまった。
授業のチャイムが鳴り、礼をすますとすぐさま俺はさっき笑いやがった一言も話したことのない男子生徒の机に向かった。
「おまえ」
「ああ、ごめんごめん」
「名前は」
「え、なに知らないの?ひどいなぁ、同じクラスなのに」
「おまえは知ってんのかよ。俺の名前」
「桜井凛でしょ?知ってるよ当然しょ」
「………」
驚いた。
「学年首位でしょ、君」
ああ、なるほど。
「俺は明だよ。アーキーラ」
「……上は」
「いいじゃん上なんて。名前で呼べば?」
「………」
まだなんも知らんけど…なんか嫌な奴だなコイツ。
作品名:天然優等生vsツンデレ優等生 作家名:ハルユキ